2009-11

裁判員制度(1)の補足

本日二つ目のエントリーになります。
一つ目の補足的なエントリーになりますが、追記にするには長くなりそうなのでエントリーを改めて。

裁判員制度(1)での論点の一つは、無罪判決の検察上訴は一事不再理の原則に反する、ということであった(最高裁は反しない、と判断しているようであるが、フツーの日本語センスを有しているなら、一審で無罪判決が出たのなら、上訴は無効だろう)。
このことは、裁判員制度の有無に関わらず言えることである。
つまり、無罪判決の検察上訴が当然のように行われている(しかも上訴審でしばしば逆転有罪判決が出ている)現状は、日本国憲法違反が放置されている、と言える(ジョーシキ的な日本語センスを持つと自負する僕によれば)。
一応このことを前提として考える。

さて、裁判員制度が実施されるとしよう。
有罪率100%でなければ、ある一定の割合で無罪判決が出る(さすがに有罪率100%にはならないだろう)。
まあ、現時点でも99.8〜99.9%が有罪(否認事件ですら98%)だから、無罪率は0.1〜0.2%(否認事件で2%)である。
そして、それら0.1〜0.2%に過ぎない無罪判決の事例も、少なからず検察により上訴される(で、少なくない事例で逆転有罪となっている)。
裁判員制度においては、職業裁判官も合議に加わるわけで、この有罪判決率が急激に下がる(無罪判決率が急激に上がる)とも思えない。

裁判員制度においても、無罪判決に対して検察が上訴できない、ということにはなっていないと思う(確か)。
だとすれば、裁判員制度が実施されても、検察は無罪判決に対して、まず間違いなく上訴をしてくるだろう。
そして、現行制度の実態から考えても、ヒラメ裁判官(判決の妥当性よりも自らの出世や保身を優先する裁判官)の比率が上級裁判所ほど高くなる(それゆえ逆転有罪が少なからず認められる)現状から考えても、裁判員裁判により無罪になった事件が、検察による上訴審で、逆転有罪とされるケースが少なからず出てくるだろう(上訴審には裁判員は動員されない)。

だとしたら、「裁判員として、貴重な時間を削ってまで審議し、判決を下したのは一体なんだったのだ?」、という疑問が当然のように出てくるだろう。
それはそうだろう。
司法への市民参加として法律で国民に義務を課し、理由なく拒否すれば罰則があり、守秘義務も非常に厳しく課された裁判員裁判で、市民が意を決して(かどうかは分からないが)出した無罪判決に対し、検察はあざ笑うかのように上訴する、で上級裁判所も裁判員による判決をあざ笑うかのように逆転有罪判決を出す。
そうなれば、「一体何のための裁判員制度なのか?」、という疑問が噴出するだろう。

その場合に、二つの道がある。
一つは、裁判員制度そのものを止めましょう、という道。
もう一つは、裁判員制度は残して、無罪判決の検察による上訴を無効にしましょう、という道。
これらは二者択一ではないが、どちらの可能性が高いかと言えば、圧倒的に前者だろう(何しろ最高裁判所の判決があるのだから)。

しかし、僕としては後者の道を望みたい。
というのも、裁判員裁判で無罪判決の検察上訴が無効となる(=一事不再理原則の徹底がなされる)なら、従来の裁判(職業裁判官のみによる裁判)との不整合が問題となり、やがては従来の裁判においても一事不再理原則が徹底されることが期待できるからだ(現実には望み薄だとしても)。

憲法の理念は、権力の横暴・暴走を抑止することにある。
一事不再理の原則もその理念の具体的な表れの一つである。
そして、現状の無罪判決の検察上訴は、憲法の理念に明確に抵触する。
つまり、検察のやりたい放題で、権力の抑止がまるで効いていない。

裁判員制度を契機として憲法の理念への国民の関心が高まるとしたら(本当は裁判員制度とは無関係に関心がもたれるべきだろうが)、裁判員制度も全く無駄ではないかもしれない。
しかし再度強調するが、現行の裁判員制度には問題点が山積しており、それは今後も随時指摘していきたい。

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