2009-07

物事の多面性と科学主義・権威主義

ここのところやや(?)硬めのエントリーを挙げてきました。
ちょっと、肩がこった感もあるので、本日は少し系統の違うエントリーにしてみたい。
といいましても、当ブログ本来の(?)趣旨に近いエントリーなのかもしれませんが…

前置きはこれくらいにして本題へ。

私たちは、というか(特に)科学者は、「科学的な見方が一番偉い」風の発言をすることがある(あるいは目にすることがある)。
「君ぃ〜、それは科学的じゃないよ」(と相手の発言を却下したり)
「科学的に考えれば、君の言っていることは妄想だよ」(と相手を見下したり)
みたいな。

ま、疑似科学バッシングの背後に見え隠れする、権威主義的態度ですね(この権威主義的態度は陰謀論バッシングにも同様に隠れている)。
自らは「正義」と思ってやっているのでしょうが、それだけに厄介ですね(権威主義を自覚することができない)。
「(素朴でわかりやすい)正義」と「権威主義」の合体を、私たちは警戒すべきなのかもしれません(それが某騒動の教訓と言えるでしょう)。

もちろん、科学者として一流の実績を挙げた人物が、その分野において発言をする限りは、ある意味当然のことだと思う(些か僭越な言い方をすれば、そのような発言をする権利を有する)。
何しろ、人生を賭して(というと大げさか?)、ある科学的事実を立証してきたわけだから。
それを許さないとすれば、逆に「科学って何だ?」ということになるだろう。

しかし、自らは何の努力もしてこなかった人物が、あることが科学的に明らかになっているという(社会的)事実に全面的に依拠して、その事実に反することを述べる人を口を極めてバッシングするとしたら、科学者(科学の発展に貢献した名もない無数の科学者も含め)の努力にフリーライド(ただ乗り)しているに過ぎない。

チトずれました。
本題へ戻すと。
(自然)科学は物理的事象を説明したり、予測したりする上では、確かに強力なツールで、恐らく何かが(自然)科学に取って代わることはないだろう。
しかし、そのことは、私たちがどんな場合でも科学的な見方を第一に取らなければならない(=科学主義)ということを意味しない。
繰り返すが、(自然)科学は物理的事象を説明したり、予測したりする上で、きわめて有用なツールであるに過ぎず、その場面において(のみ)科学が最重視されることが正当化されるに過ぎない。

言い換えれば、物事には、科学的な側面以外にも、実に多種多様な側面がある(あるいは、多種多様な側面を捉える、私たちの多種多様な視点がある)。
そして、様々な側面を捉える、私たちの様々な視点は絶えず生み出されている。
ローティ(アメリカの哲学者)流にいえば、多種多様な側面に関する多種多様な語りが、語彙を増殖させて社会を豊かにしていく、ということになるだろうか。
もしも、その語りに序列が作られるとしたら(序列を作ろうとする試みはウンザリするほどあるが)、権威が蔓延る社会になってしまうだろう(それはリベラルな社会とは程遠い)。

つまり、いかなる語りも排除することなく、同等なものとして捉えること。
それがリベラルな社会に他ならない。

というと、「お前は人を差別するような語りや名誉を傷つける語りも同等だと言うのか?」とのツッコミが入るかもしれません。
リベラルは、他者に対する侵害(だけ)は許容しない。
ゆえに、ある語りが他者を侵害するためのものであるなら(差別や名誉毀損はそのようなものと考えられる)、そのような語りには一定の制限が加えられてしかるべきだろう(逆に言えば、それ以外の語りを規制する理由はない)。

さて、やや抽象的な話をしてまいりました。
ここからが僕の言いたかったことです。
様々な語りが同等である、ということは、「AはBである」「AはCである」「AはDである」…という捉え方が互いに排他的ではなく両立し得る、ということです。
ただし、論理学的にいえば、「AはBである」と「AはBではない」は両立不可とされます(排中律という奴ですね)。

つまり、「AはBである」が仮に正しいとしても、それが直ちに「AはCである」を却下するわけではありません(排中律などの論理的両立不可能性が示されない限り)。
ところが往々にして人は、「AはCである」を否定したいためだけに、「AはBである(「AはCである」と違った見方)」を持ち出すわけですね。

しかし、先にも述べたように、ものの見方は多様であり、それが互いに両立していると考えられるわけです(それが論理的に両立不可能と示されない限り)。
盲人の象さわりの寓話を思い起こせば、それは簡単に示すことができるでしょう。
逆に言えば、特定のものの見方を示すことで、別のものの見方を却下できる(その見方を間違いと談じることができる)と考えている人は、語りの序列化を目指しているのかもしれません(それは権威主義的態度だと僕には思われます)。

具体的に何を言いたいかは、コチラのエントリーのコメント欄のやり取りを参照していただければと思います。

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